※下記はベンチャー通信53号(2013年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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チームワークを強化する仕組み、合理的かつ高い目標へのチャレンジ、成長市場への集中投資。この3つの要因が、現在の成長につながっているのですね。創業時から経営は順調だったのですか。
いいえ。これまでは厳しい道のりでした。とくに、創業から6年間は本当に大変でしたね。
当時のエイチームは、知名度もなければアピールすべき経営理念もない。集まってくれたのは、社会人として未熟な人材でした。たとえば、始業時間は10時なのに、16時に出社してくるんです。
当時、事業は携帯サイトの受託制作がメインでしたが、納期が非常に短かった。「クレームを受けたくないから」と、スタッフが電話に出ない。組織も事業も負のスパイラルに陥り、スタッフが疲弊してしまいました。このままではいけないと一念発起したんです。
― どのようにして会社を変えたのですか。
きっかけは2冊の本との出会いでした。1冊目は『非常識な成功法則』という本。「夢は紙に書くことで実現できる」といった内容で、実際にそれを実践しました。書いた内容は「2年以内に売上を10倍にする」「下請けをやめて、自社のサービスを作る」のふたつです。その目標をどうしたら実現できるのか――。その当時に思いついたアイデアを具体的に紙に書いて、目標を細分化しました。そのなかのひとつにあった「携帯電話向けゲームを開発する」が、無事に成功して下請けから脱却できました。
2冊目は、『「仕事ごころ」にスイッチを!』というビジネス書。事業面では軌道に乗り始めたのですが、社内の雰囲気はそれほど良いわけではなく、私自身マネジメント経験もなかった。組織づくりについて、非常に悩んでいた時期に出会った本です。
内容は「必ず打ち上げをやる」「相手をねぎらう」「相手の良いところをほめる」といったものでしたが、すがるような思いで書かれていることを徹底的に実践したんです。最初は、スタッフのみんなも恥ずかしそうでしたが、雰囲気も徐々に良くなり、現在のエイチームの「お互いを認め合う」という風土の元となっています。
― そのころから、一気に成長路線へ進んだんですね。
いいえ。思わぬ落とし穴が待っていました。社員の裏切りにあったんです。ある社員がゲームの重要なプログラムを盗み出し、起業準備をしている事実が発覚。別のゲームプログラムも盗んでいたことがわかり、解雇しました。
創業から苦労した6年間を経て、「これからすばらしい会社がつくれる」「働く人が幸せになれる」と思っていた矢先の事件でした。この事件をきっかけに、現在の経営理念である「みんなで幸せになれる会社にすること」が生まれました。この経営理念に共感し、新しく入社してきたスタッフたちの活躍によって、100人体制へ急拡大しました。しかし、今度は企業成長のスピードに役員のマネジメントが追いつかなかった。彼らの意見がバラバラで、現場が機能不全になったんです。
― どうやって困難を乗り越えたのですか。
解決のヒントは、あるテレビ番組でした。人ごみの交差点で、ひとりがある方向に指をさしても誰もその方向を見ない。しかし、3人が指をさすと、つられて多くの通行人が見るようになる。いわゆる、同調行動の実験でした。
これは反射的な行動ですが、人間の本質をついている。マネジメントに活かせると思いました。会社の方向性に対する想いを役員が同じくして、私と一枚岩になれば、現場の混乱を解決できると判断。経営陣の入れ替えを行い、私と経営方針を共有できる2名を新たな役員に選出しました。
プロフィール
- お名前林 高生
- お名前(ふりがな)はやし たかお
- 出身岐阜県
- 身長172cm
- 体重64kg
- 平均睡眠時間6時間
- 趣味ラジコン
- おススメ本『69 sixty nine』村上 龍(著)
- 今までに訪れた国6ヵ国
- 座右の銘お互いを認め合うこと
- 尊敬する人両親
- 好きな食べ物たまご
- 嫌いな食べ物すっぱいもの
- 今日の財布の中身いつも大体6万円