― 「全体最適」とは具体的にどういうことですか。
企業運営上の業務は連鎖しています。本来はつながるべき部門間、業務間の連鎖がうまくいかなければ全体最適とはなり得ません。これまで多くの製造業企業においては、全体を俯瞰して最適化を図るということになかなか踏み込めませんでした。
たとえば三人四脚走をイメージするとわかりやすいでしょう。誰かひとりだけ歩幅の狭い人がいると途中で転んでしまったりして、三人全員がうまく走れません。全体最適とは、まずは歩幅の狭い人に同期をとり連鎖を強化し、徐々に歩幅を広げ、スピードを上げていく訓練が必要です。いつまでも「自分だけ」の視点で一番速い人がさらにスピードを上げる訓練をしてしまうと、ますますうまく走れなくなりますよね。全体を俯瞰する視点を欠いた、部門や拠点単位の改善活動や情報管理だけでは、新たな変化が生じた場合に機動的な対応がとれませんし、供給プロセス全体から捉えた場合に必ずしも効果が得られない場合もあるのです。
また、調達部門がコストダウンと称して社内加工を外注化するケースがあります。この場合は社内加工賃率と外注委託費用との比較で判断するわけです。しかし社内作業者の人員数に変動がなければ、固定費は発生していますから、実態はコストアップしているのです。部分最適の弊害です。ではなぜ部分最適に陥るのかと言いますと、全体を俯瞰する司令塔が不在だからです。ですから全体最適化をはかるための改革と組織化が、全ての製造業企業にとって不可欠なのです。
― 改革における、御社ならではの独自手法はありますか。
プロセス改革の中で、取り組み内容に応じた「活動ガイド」というオリジナルの教科書を提供している点が大きな特長です。改革の目的や手順、考え方、参考情報やアウトプットのイメージをすべて集約しガイド化しています。各企業の内容に沿った個別独自性のあるもので、改革の段階ごとに活動内容を提示し、適切な成果を効率よく産出していきます。
これによってコンサルティング・スキルアップにもつなげています。なぜならお客様のプロジェクトメンバーよりも何歩も先を深く考え、目的や手順をガイド化していくからです。
― 渡邉代表がコンサルティングで重視するのはどんな点ですか。
コンサルティングのスタイルや領域はさまざまですが、当社の場合はお客様と一緒に考えながら改革実践までご支援し、確かな成果を出していくことを常に大事にしています。
またアウトプットを産出する場合、必ず根拠と結論を明確化していただくことにも気をつけています。現場を巻き込んで改革を実践していくためには、結論も大切ですが根拠も必要となります。なぜそうなるのかの根拠が明確で共感できるものであれば、改革は確実に加速するものです。
さらに改革の実践において、常にお客様から見たお客様を起点としたアプローチも重要です。顧客起点でどのようなプロセスを構築するのか、どのようにPDCAをまわすのか、その上で販売部門や出荷物流部門、サービス部門が全体最適化に向けてご自分たちの職場をどう変革していくのか、ということを重視していますね。
プロフィール
- お名前渡邉 一重
- お名前(ふりがな)わたなべ かずしげ
- 出身愛知県
- 血液型A型
- 趣味読書
- 好きな食べ物和食全般
- 好きな言葉できることからではなく、正しいことから始めるのです(ピーター・ドラッカー)