― 御社が行った、三位一体改革での支援事例を教えてください。
精密機械製造企業で売上が1,000億円規模の上場企業の例です。基幹システムの再構築というテーマで依頼を受けプロジェクトをスタートしたのですが、サプライチェーンプロセス上にさまざまな問題を抱えていることがわかりました。組織の大きさゆえに業務間・組織間の連携が不十分な上に非効率な業務もありました。そのままIT化を進めても十分な投資効果が得られないことが明らかになったのです。
実施すべきはプロセス改革であることを提言し、承認いただきました。プロジェクトメンバーや各職場のリーダーがアクションラーニングを実践し、まず事業基盤の強化を早急に実施しました。その上で各職場の課題について全体最適の視点から検討し、具体的な改革施策の実践につなげていきました。基幹システムの再構築はプロセス改革の施策内容に沿って進めました。約1年後には業務の改善と標準化が成され、納期遵守率の向上や欠品率の低下という効果が出ました。基幹システムも業務の効率化に役立つものに生まれ変わりました。
― 今後のビジョンを聞かせてください。
量産品の市場は、新興国の低価格品の台頭によって、大変厳しい状況となっていますので、ますます競争力強化の改革が必要となっています。さらに多くの製造業企業様の支援を続けていきたいと思っています。
一方で、これまであまり重視されてこなかった量産品販売後の保守や保守部品の供給といったアフターサービスのビジネスの強化が重要となってくると考えています。既にいくつかの企業で支援を実施した経験を持っていますが、アフターサービスにおいてもプロセス改革をはじめとした三位一体改革に力を入れていきたいと考えています。それだけ重要な領域と考えています。
― 最後に渡邉代表の改革活動に対する想いを聞かせてください。
現在も起業当時と変わらないのが、改革活動を通じて製造業の企業や従業員の皆さんを元気にしたいという想い。事業基盤強化によって実践力や知恵をつけ、自ら改革を遂げていくやりがいを見つけることで企業には活気が出てきます。そして、プロジェクトが終わったあとは、社内でコンサルタントの役割を担えるまでに成長できる。そうした人材をつくり企業を元気にすることが、創業当初からの変わらぬ想いですね。
■ 渡邉 一重 (わたなべ かずしげ)
1965年生まれ、愛知県出身。富士通株式会社および関連会社にて、電子デバイス事業部門の生産管理システム構築に従事。その後IT関連企業に移り、製造業を中心とした情報システム企画・開発に携わる。製造業に特化した経営コンサルティングを行う株式会社日本ビジネスクリエイトと出会い、コンサルタントとして転職。同社で8年間、高いレベルでの製造業企業へのコンサルティングノウハウを蓄積した。2005年、有限会社BLiSCを設立して代表取締役に就任。
プロフィール
- お名前渡邉 一重
- お名前(ふりがな)わたなべ かずしげ
- 出身愛知県
- 血液型A型
- 趣味読書
- 好きな食べ物和食全般
- 好きな言葉できることからではなく、正しいことから始めるのです(ピーター・ドラッカー)