― ボードウォーク・キャピタルを設立した経緯を教えてください。
私自身、ずっと金融畑で仕事をしてきましたから、金融の領域で企業をサポートしていきたいという気持ちはずっとありました。ただその一方で、金融にはさまざまな規制があることもよくわかっていました。
たとえば銀行の場合、起業して3年間はまずお金を貸してくれません。どんなに有望なベンチャー企業であっても、設立後3年間の決算書をみて、はじめて融資できるかどうか判断するわけですから、融資はしてくれないのです。
有能な経営者であれば、3年もやれば黒字化できるわけで、その時点ではもうお金は必要ないんです。でも銀行は、黒字化できたからこそ、初めて「資金を貸すよ」と言ってくる。
必要なときはそっぽを向いて、要らなくなったらこっちを向く…。こんな矛盾はないでしょう。その矛盾を私自身強く感じ、「だったら、自分が有望なベンチャー企業のために資本を使おう」と考えたのです。
新規事業やイノベーションなどのチャレンジに資金を効果的に使っていくことはとても重要であり、失敗を恐れていてはそれこそ成長はありません。日本にはいまも世界に通用する技術力があり、どの国とも十分に勝負できます。それを、アドバイザリーとインキュベーション、エンジェル投資というカタチで支援していく。「日本の金融機関ができないことを自分がやろう」と考えて、ボードウォーク・キャピタルを設立したのです。
― 今後のビジョンを教えてください。
「日本人が世界で勝てる」ということを、日本の国民にしっかりと伝えていきたいと考えています。
これは企業事例ではないのですが、じつは当社で伊藤雅雪というひとりの日本人ボクサーをずっと支援してきたんです。ビジネスパーソンを辞めてプロボクサーになり、ひたむきに努力を重ねた結果、今年の夏に米フロリダで世界戦に勝ってフェザー級の世界チャンピオンになりました。
大手のスポンサーもまったくつかないなかで、彼自身のがんばりで世界王者まで登り詰めた。彼は最初から、「世界を目指す」「世界チャンピオンになってみせます」と私たちに訴えていました。企業だけでなく、こうした個人の世界への挑戦も支援していきたいですね。
そして企業でいえば、ユニコーン企業を10社創ることを当面の目標に掲げています。現在2社が時価総額1000億円を超えましたが、これを10社創りたい。国内の枠組みを超え、世界に出ることで実現できると思いますから、そのサポートを行っていきます。
― 今後、海外進出を目指す経営者にメッセージをお願いします。
いまやインターネットやスマートフォンの普及によって、世界との距離感はものすごく狭まりました。同時に、誰にでも平等に世界のマーケットは開いています。そのことをすべての人に知ってもらい、チャンスがあることを全国民に認識してほしいですね。
いま国策として、日本に外国人観光客がどんどん来ています。海外に出ていくことだけがビジネスではなく、「海外から来る外国人に対してどう接していくか」という点にも、じつはビジネスチャンスは転がっています。
まずは自分たちが日本のよさを知り、それをアイデンティティーにしながら世界に発信することを考えてほしい。時代に敏感に呼応しつつ、果敢にチャレンジしてください。
■ 那珂 通雅 (なか みちまさ)
1964年、東京都生まれ。慶応義塾大学理工学部卒業後、ソロモン・ブラザーズアジア証券会社(現:シティグループ証券株式会社)に入社、外国債券営業部に所属。トップセールスパーソンとして数々の記録を打ち立てたあと、2009年にシティグループ証券株式会社の取締役に就任、その後同社取締役副社長に昇格。2010年に退任したあと、ストームハーバー証券株式会社を設立し、代表取締役社長に就任する。2014年に同社取締役会長となったあと、2016年にボードウォーク・キャピタル株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。投資事業を通じてベンチャー企業を中心とした支援を行っている。
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