― どんな会社を作りたいと考えたのですか。

　最初にこの業界に入って、格闘家時代とは違う、人間らしさを感じないコミュニケーションに違和感を抱いたんです。隣の席の人とチャットでやりとりするような無機質な関係に大いに疑問を感じ、IT業界でも社員同士がコミュニケーションを積極的に取りこの会社で一生の仲間を作り、引退してもお互いの家の縁側でお茶を飲めるような友人を作れる会社、皆が楽しいと思える理想の会社を自分たちの手で作りたいと考えました。

　IT企業というと、世間ではオタクとか暗いというイメージがあるかもしれませんが、弊社は真逆で個性的な面白いメンバーが多いんです。採用基準を「人間性」にしているから、悪い人間がいない。この会社で仲良くなり、お互いの家に遊びに行ったり、旅行に行ったりする社員が多い。そうしたコミュニケーションの活発さが弊社の一番の売りです。

― なぜそのような社員が育つのでしょうか。

　社員を人間性で採用していますから、いい意味で先輩がおせっかいなんです。後輩を連れて朝までカラオケに行ったり、最低でも月に１回は飲み会をするなど、豊富なイベントの中で仲間意識が培われます。だから離職率が低い。実際、2013年に媒体募集で採用した社員の離職はゼロです。

　SES事業では、エンジニアの多くがお客様先に常駐して働いています。だから本社は「実家」のようにホッとできる雰囲気にしたい。辛い時には会社に戻ってきて、悩みを打ち明けてみんなで飲みに行ったり、遊びに出かけて気分転換する。だから会社は楽しく、みんながくつろげる場所にしたいんです。

　以前、「大手の仕事を見てみたい」と言って離れていった社員が、３年経って「やっぱりフロンティアの方が楽しい」と帰ってきてくれました。そんな場所でこれからもあり続けたいと思っていますね。

― どんな人材を求めていますか。

　一言でいうとITスキルよりも、人間として「いいやつ」です。私は採用の時に、履歴書の左側の学歴欄はほとんど見ません。それよりも相手の目をちゃんと見て話せるか、しっかりとした挨拶ができるかどうかといった人間性を見ています。

　またどんなことでもいいから、何かに情熱を傾けたことがある人がいいですね。これまで、NHKのロボット相撲の番組で全国準優勝した人や、面接で「何か聞きたいことは？」と尋ねたら「社長の一番好きなガンダムは何ですか？」と聞いてきたガンダムオタクもいました（笑）。また、私とトレーニングがしたいと言う理由で大手企業を辞め入社したボディービルダーもいます。面白くて採用を即決しましたよ。

　入社前に、２次元の世界にしか興味がなかったという社員もいました。面接で話してみるとイイやつで、ネットゲームを極めて、「日本で10番に入る腕前になった」「将来お母さんに家を買ってあげたい！」と話す表情がすごく良くて採用し、今は仲間もたくさんできて明るく頑張っていますね。

　私は「企業はカレーづくり」と言っています。いろんなスパイスを入れないとカレーは美味しくない。そして、時に化学反応を起こしてとんでもなく旨いカレーになったりします。社員も同様に、違う魅力がうまく融合すると大きな力を発揮するんですよ。