― 濵田代表が歯科の世界に進んだきっかけは何だったのですか。

　小学５年の時に、大好きだった祖母の入れ歯が壊れたことがあったんです。歯科医師の叔父に直してほしいと頼んだものの「難しい」と言われ、「だったら虫歯や入れ歯のない世界を作りたい」と思ったのが最初のきっかけでした。

　その後歯科衛生士になり、研究所の勉強を経て、起業しながら西海岸と日本を往復していた時の事です。たまたまパブリックのゴルフで一緒になった男性から「ロスに何をしにきているの？」と聞かれたので「米国の最先端の技術を学んで、虫歯や入れ歯のない幸せな世界を作りたい」と話したところ、その男性は自分の入れ歯を目の前で外して、「あなたは入れ歯の人を不幸だと思っているの？ 僕は不便だけど不幸ではない。そんな考え方だと良い衛生士にはなれないよ」と言われて衝撃を受けました。それは私が歯科に対する考え方の幅が大きく広がるきっかけことになりましたね。

― 人材育成に対する想いが芽生えたのはなぜですか。

　東日本大震災が起こった際に、世の中の先行きに不透明さを感じて、自社の体力があるうちに会社を縮小し、スタッフを他の企業や機関に受け入れてもらおうと打診したことがありました。

　20～30歳代の社員はそれぞれ受け入れ先が決まったのですが、40歳以上のスタッフが年齢を理由に受け入れてもらえませんでした。その時に、年齢に関係なく「欲しい」と思ってもらえるような人材育成の必要性を痛感し、それはどの組織でも同じだろうと思いました。スタッフが自己成長するためのサポートを事業として行っていきたいと考えるようになったのです。

　トップが何かをしようとする時に、壁となるのが「できません」というスタッフの思考です。それは本当にできないのではなく、「どうしてよいか分からない」だけの場合がほとんどです。私たちは「できない理由」の一つひとつを丁寧にサポートし、分からなくて動けない状況を改善していきます。時には見本を見せることもあります。経営者のゴールが明確であれば、そこへと正しく向かうように個人と組織の成長を促す文化を創ります。

― 今後のビジョンを教えてください。

　私は「国民口福」という取り組みによって世の中の幸せを追求していきたいと考えています。歯や口腔を美しく保ち、幸せな人生の土台にする。その実現をコンセプトに、セミナーや講演活動などの啓蒙も含めた活動に力を入れていきます。そして人材育成を通じて患者さんに喜ばれ続ける医療機関をつくることが目標です。

　そのためにも、これからも前例のないことを実現させていく果敢なチャレンジを続けていきたいですね。私たちが歯科医院をサポートするといったことは20年前の業界では考えられなかったように、これからは次の20年後の当たり前を今から作っていきたい。既成概念にとらわれず、常識を打ち破るような新たなプランに挑戦していきたいと思います。引き続き前例のない何かに挑戦してみたい医療人の夢を叶えるお手伝いも行っていきます。