― 原田社長が不動産業界に入った経緯について教えてください。

　私は中学時代には東京ヴェルディのジュニアユースに入るなど、小学校から大学までサッカーに打ち込んでいました。それが大学のときに韓国のKリーグの２部チームと試合をする機会があり、そこで自分の力の限界を知ったのです。当たりは強くてボールは取れないし、個人としてもまったく歯が立たなかった。これでは将来は無理だとサッカーはあきらめました。

　では卒業して何をやろうかと考えたときに、どうせ仕事をするなら、いちばん大きなものを扱うダイナミックなことをやりたいと思ったんです。金額で考えれば、不動産に違いない。そう考えてこの業界に入りました。そして大学を出て最初に入ったのが、都内のワンルームマンションの販売会社だったのです。

― 起業しようと考えたのはいつ頃だったのですが。

　自分で独立して事業をやろうと思ったのは、大学でサッカーをあきらめた瞬間からです（笑）。自分の性格として、兵隊では気が済まないたちなので、ゆくゆくは不動産で起業しようと決めていました。

　最初の会社で営業について学び、次に不動産業のあらゆる知識と仕組みを身につけたいと考えて仲介会社に入りました。仲介業は、売る側と買う側の両方の立場のことを学ぶことができ、双方の間に入っての業務的な知識や経験も得られます。その会社で3年ほど勉強させてもらい、26歳のときに独立。エム・ジェイ・コーポレーションを起業したのです。

　会社を立ち上げた2008年12月は、実はリーマン・ショックの直後。周囲は「なんで今？」と心配しましたが、僕としては逆にこのタイミングしかないと思ったんです。いま独立してつぶれなければ、この先もきっと大丈夫と思いましたし、ピンチはチャンスという気持ちでしたね。

― 不動産の仕事に対するやりがいをどのように感じていますか。

　今でこそようやく軌道に乗りましたが、創業後2年間ほどは経営的にも厳しく、実績を作るまでは銀行もこちらを向いてくれませんから、資金繰りも含めて本当に苦労しましたね。ストレスで顔じゅうにニキビができて、友人からも本気で心配されました。

　それがいま創業して5年が経ち、あらためてこの仕事の面白さを感じています。自社で分譲する物件は、販売自体は仲介業者や販売会社が行うのですが、契約の際に買主さんと顔を合わせたときに内装について褒めてもらったり、良い物件だと感謝してもらえることで、「ものづくり」に似た面白さを感じることが多くあります。リフォームによって違ったものに変えていくことで新たな価値を生み出し、その結果としてお客さまに喜んでもらうプロセスは、まさにものづくりの喜びという感覚がありますね。

　だからリフォームの打ち合わせの時間はとても楽しいし、自分ならではの独自性や感性を活かしたものを作っていけるのは面白い。大手業者のリフォーム部隊が手がけるよりも、自分のほうが良い目利きもできるし、お客様を満足させられる良いものを作れると自負していますよ。

― 御社の今後のビジョンについて教えてください。

　不動産に関する当社の事業ノウハウは、現在はまだ私自身の経験に負うことがどうしても大きいだけに、今後は営業マンをさらに増やして、企業としての組織化を強力に進めていきたいと思っています。それに伴って取り扱う物件の件数も段階的に増やしていきたいと考えています。

　今後は、たとえばWEBを使った不動産に関するメディア事業も視野に入れていくなど、事業領域の新たな拡大に積極的に取り組んでいくことも目標のひとつです。これからも不動産のプロフェショナルとして、豊かな住環境づくりのお手伝いに取り組みながら、周囲の信頼に応えるサービスを提供していきたいと考えていますね。