― どうしてガーデニングに着目したのですか。
私自身、庭師として長いキャリアを積んできました。高校を卒業して造園会社に就職し、そこで庭仕事の面白さにふれました。自由な雰囲気で仕事ができて、植物など生きたものを相手にするのが興味深かったんですね。もっとこの仕事を勉強したいという意欲が湧いて、海外でガーデニングを学びたいと思ったんです。縁あってそれがかない、21歳で単身アメリカに渡りました。
アメリカでは、ガーデニング(庭の手入れ)をするガーデナーとして働きました。向こうでは、庭は芝が中心でとても広く、多くの家庭で「お抱え庭師」というものを雇っています。契約しているお宅に行って芝刈りなどの作業を行い、1日15軒くらいの数を毎日こなすのです。アメリカで2年くらい行いましたが、その経験がガーデナーとしての土台になりましたね。
― ガーデニングと障がい者支援が結びついたのはどのような想いからでしたか。
帰国して様々な仕事を経験したのですが、やはりガーデナーとして身を立てようと思い、独立してガーデニング業を個人で開業しました。アメリカでの経験をもとに、毎月1回定期的に訪問してお庭を一年中きれいにするという、他にはないサービスを始めたのですが、自分で作ったチラシを配りながら口コミでお客様がどんどん増えていきました。
そしてある日のこと。仕事先で青い空の下、芝を刈り終わって汗をぬぐい、ふっと一息ついて感じたのは、自分がガーデニングの仕事をしながら、とても「癒されている」という想いでした。実はその頃の私は家族のことで大変苦しい問題を抱えていました。心にあった悩みや苦しみも、ガーデニングの仕事に集中することでいつしか軽くなっている―そんな自分に気づいて、この仕事を、もっと苦しんでいる人の役に立つ事業に展開できるのではないか、と思うようになりました。
― ガーデニングが心に障がいを抱える人たちの支援に役立つと感じたのですね。
はい。そして調べていくと、「園芸療法」というものがあることも知りました。植物の世話をとおして精神的に安定していくという治療法で、実際にそれを行っている障がい者施設があるとわかり、お手伝いのボランティアで行ってみたのです。
何度か行くうちに、施設の所長から「あなたのガーデニングの仕事場にここの人を連れていって、作業を体験させてみてくれないか」と頼まれたのでした。私は喜んで、3名の方をガーデニングの現場に連れていきました。実はそのときは、結果はあまりうまくいかなかったのです。私のほうに、障がいへの知識も、障がい者に働いてもらうことのノウハウもなく、対処の仕方が分からなかったからです。作業で無理をさせてしまい、考えたほどの効果は得られませんでした。
ただ、失敗には終わりましたが、生き生きと作業をする皆さんの姿や、そんな彼らをやさしく受け入れてくれるお客様の様子を見て、多くの可能性も感じました。自分がそうしたノウハウさえ身につければ、ガーデニングは必ず障がい者の役に立つ仕事になる。これを事業にすることで、皆さんに働く場所を提供し、皆さんの心を癒すことができる…そう考えました。
そして知り合いのNPO法人のもとで、障がい者支援施設を立ち上げ、園長として3年間勤務しノウハウを学んだあと、2011年にナチュラルライフサポートを設立。レインツリーの運営を始めたのです。
プロフィール
- お名前古里 靖
- お名前(ふりがな)ふるさと やすし
- 出身神奈川県
- 血液型B型
- 趣味読書
- おススメ本「園芸家12カ月」(著)カレル・チャペック
- 家族妻、子供3人
- 両親の職業父:鉱山稼ぎ、母:看護婦
- 座右の銘小善は大悪に似たり
- 尊敬する歴史上の人物勝海舟、マハトマ・ガンジー
- 好きな食べ物鍋、干物、納豆、チョコレート
- 好きな言葉不易流行
- 好きな作家ミラン・クンデラ、丸山健二
- 好きなスポーツ野球
- 好きな映画「レ・ミゼラブル」
- 好きな俳優ダニエル・デイ・ルイス
- 好きな女優ジーナ・ローランズ
- 好きなミュージシャンU2、元ちとせ
- 好きな歌(曲)「花~すべての人の心に花を~」
- 休日の過ごし方家事、読書又はドライブ
- 飼ってるペット犬1匹、猫2匹
- 乗っている車ボルボ