― いずみホールディングスの主力は食品流通事業ですが、『oneplat』のようなプラットフォームを開発したのはなぜですか。
さまざまな業界の現場とかかわるなかで、古い商習慣やビジネスの「当たり前」から生まれる、ムダによって生産性が下がっている現場を数多く目の当たりにしてきたからです。私たちが日頃からお世話になっている卸売市場や問屋、スーパー、飲食店、ホテル、冠婚葬祭に留まらず、IT会社や通信、広告、美容室、病院、養護施設、調剤薬局、土建、建築といった業種では日々、非常に多くの物品を納入しています。そこでは郵送やFAXで送られてくる納品書を、経理担当者がパソコンに入力する作業が当たり前のように行われています。DXが叫ばれ、さまざまな業務でデジタル化と効率化が進んでいるいま、こと納品に伴う経理業務はほとんどデジタル化が進まず、いまだ煩雑な手作業によって時間や人手がかかっているのが現状です。そうした現状の業種の方々がしっかりと運用できるプラットフォームとして開発したのが、『oneplat』なのです。
― 食品流通事業での経験が新たなソリューションの開発につながったと。そもそも、泉さんが起業した背景を聞かせてください。
話は私が子どもの頃まで遡ります。母方の実家が北海道・積丹半島の小さな漁村にあったため、私は幼いころからよく、ウニやイカを剥くといった漁業の手伝いをし、生産者の生活を身近に感じていました。社会人になってからは外食産業に就職したのですが、その仕入れ業務で大きな衝撃を受けたことがありました。飲食店が仕入れる時点で、ウニ100gに1,800円の値がつくという事実です。母方の実家では漁協や漁連にウニ100gを200円ほどで販売していたので、この価格の差には驚きました。もしも飲食店が生産者から1,000円で直接ウニを仕入れれば、生産者と飲食店のどちらも800円ずつ収益が増えるではないか。そんなシンプルな気づきが、食品流通に興味を持つきっかけとなりました。
また、当時はITに関するビジネスにも着目していたのですが、そこで目に入ってきた業界も食品流通だったのです。この業界は、売るモノも売り方も昔からほとんど変わっていない。この業界にITを取り入れれば、よりドラスティックに業界そのものの合理化を図れると考えたのです。
そこで、まずは水産業で起業しようと、「株式会社いずみ」を設立したのがグループ創設の経緯となります。そこから、畜産卸売事業や農産卸売事業、プラットフォーム事業など、事業の多角化を進めてきました。
プロフィール
- お名前泉 卓真
- お名前(ふりがな)いずみ たくま