― 特徴として「集団指導」をあげていますが、設立前に複数の塾で働いた経験が、そうした教育理念につながっているのでしょうか。
個別指導と集団指導の塾で働きましたが、どちらかがすぐれているわけではなく、いいところも問題点もあります。個別指導のメリットは、子どもの学力や志望校に完全に合わせて指導できるため、成績を上げやすいこと。集団指導は他の学校の子どもたちと一緒に勉強するため、いろんな刺激を受けられるのがメリット。あと個別に比べ価格が安い。でも講師に力がないと全体に目が届かず、成績が上がりにくくなる可能性もあります。
個別指導を売りにする塾も多くありますが、塾のあるべき姿、王道は集団指導ではないかと私は思っています。よくいわれることですが、今の子どもたちは家に自分の部屋があり、外で遊ぶ機会が減っている。さらに塾も個別となると、自分を中心に、自分のペースで動いているように感じることもあるでしょう。高校、大学でつき合うのは気の合う友達だけですから、気の合わない他人で作られた社会なんて意識せずに過ごせますよね。
でも卒業して社会人になると、社会は自分の都合では動かないし、誰も自分のペースに合わせてはくれません。そこで挫けてしまうケースがあるのですが、個別な空間で長く過ごしているとコミュニケーションの経験に欠け、生きる力が弱まってしまうのではないか。そんな危惧を抱いています。
― 他の学校の子どもたちと一緒になる集団指導は、小さいとはいえ社会が形成されるため、子どもたちが外の世界を意識するようになる、と。
家庭と学校以外の社会が形成されます。カリキュラムは英国数社理の5教科で構成され、まずはその成績を上げることが一番の仕事ですね。そのうえで私は基本的な「生き方のマナー」も共に教えるのが教育だと考えています。個別指導の塾にいたとき、志望校の話になると「レベル的にここは難しい」と、自分から志望校のランクを下げる子どもの多さに気づきました。保護者、学校の先生、塾の講師。大人の話の影響が大きく、実際に目標に向けて勉強をしている同い年の子たちの姿をあまり知らない。学校では勉強していることを隠しますしね、みんな。一人で不安が先走ってしまい「入りたい高校」より「入れる高校」という考え方をしてしまうんですね。これはおかしい。行きたいところを目指す、一番ほしいものを手に入れるのが基本です。本当は行きたいところがあるけれど、入りにくそうだからやめようなんて、そんな考えではこれから自分の一番のことができない。自信を持てない生き方をしてしまうのではないか。
私がいう「生き方のマナー」とは、行きたいところ、やりたいこと、ほしいもの見つけたら、精一杯の努力でそれを手に入れる姿勢です。まわりに流されず、明確な意思を持って自分を主張するマインド、ともいえるでしょう。強い意志です。小・中学生の時期に成績を上げつつそれを育むのが塾であり、集団のなかで異質なものにふれ、反発や共感によって生きる力を育む集団指導を掲げる理由もここにあります。
― その理想を実現するには、講師の力量が大きなポイントになりますね。
塾講師は、成績を上げられなければ話になりません。そこからさらに、何か一つ「ズバ抜けているところ」や「明確な価値観」を持っていてほしいと思います。学歴が抜きん出ている。海外で暮らしていた。役者やミュージシャンを目指した経験がある、など。独特なバックグラウンドがあり、自分なりの価値観を持つ人は言葉に説得力があると感じています。子どもたちの心をグッとひきつけることができる。進学校から有名大学に進んだ受験エリートもスゴいと思いますし、いろんなタイプの講師がいるほうが、子どもたちに大人の類型を見せるという効果もあると思います。大人のタイプは一つではなく、どんな生き方を選択してもいいんだと子どもたちに気づいてほしいですね。
プロフィール
- お名前天沼 伴文
- お名前(ふりがな)あまぬま ともふみ
- 出身千葉県 市川市
- 身長173(6頭身)cm
- 血液型O型
- 趣味本、音楽、仕事
- 両親の職業医師
- 今までに訪れた国6ヵ国
- 尊敬する人甲本 ヒロト、宮崎 駿
- 尊敬する歴史上の人物ニーチェ、東郷 平八郎、高橋 是清
- 好きな作家太宰 治、小林 秀雄
- 出身校法政大学