株式会社セプテーニ・ホールディングス 取締役会長 七村 守
強く偉大な会社を目指す
国内トップクラスのインターネット広告会社セプテーニなど、数多くの優良企業を傘下に持つセプテーニ・ホールディングス。同社会長の七村はリクルート出身の起業家だ。七村は新卒でリクルートに入社し、新人時代は猛烈に働いた。20代でビジネスの基礎体力を付け、35歳で起業。現在はインターネットマーケティングで国内No1を目指し、グループ15社、社員572名(連結正社員数)を力強く率いている。今回は七村にセプテーニグループの強さの秘密、セプテーニグループ流の人材育成術などを聞いた。
※下記はベンチャー通信36号(2008年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
【インタビュー前編】「何も無いなら、知恵を出そう」からスタート
― 御社の社是は“ひねらんかい”ですが、とてもユニークですね。
“ひねらんかい”とは大阪弁で、「知恵を出そう、工夫しよう」という意味です。もともと私はまったくのゼロから起業しました。ヒト、モノ、カネ、何も無いところからスタートしたんです。何も無いので、だったら知恵を出そうと(笑)。そういう苦肉の策から生まれた社是です。でも、これが良かった。何も無いからこそ知恵を出して、常に改善を重ねていきながら着実に成長していくことができました。
よく資本金をたくさん集めて起業する人がいます。これはうまくいかないケースが多い。最初からヒト、モノ、カネが有り過ぎるのも良くない。無ければ無いなりに知恵を出せばいい。お金が無いからこそ、お金の大切さも身に沁みて分かり、お金の生かし方も体得できるんです。
― 御社の新規事業開発部である“ひねらん課”では、「事業開始6ヶ月以内に単月黒字化、丸1年で※累損一掃。それができなければ事業撤退」という厳しいルールがあるそうですね。
何年も赤字を垂れ流し続ける事業というのは、世の中に存在価値がないということです。だから事業の責任者には、利益を出すことに徹底的にこだわってもらう。最初から恵まれた甘い環境になんて置きません。事業の責任者には利益を生むことの大変さを知ってもらい、それを通して経営の大変さと醍醐味を知ってもらおうと考えています。
成功する経営者はみんなケチです。ケチで慎重。気前のいい大胆な経営者で成功している人は皆無です。でも、ケチや慎重だからと言って、悲観的でもない。立派な経営者とは、常に最悪の事態を想定しながら、楽観的でいられる人です。そういう矛盾するような要素を内に秘めながら、常に葛藤している経営者だけが中長期的に成功できる。大胆かつ繊細。悲観的かつ楽観的。この内なる葛藤が大事です。
― 御社では“商人”という言葉を使っていますね。商人とサラリーマンの違いを教えてください。
まず“商人”とは、一般的に使われる経営者と同じ意味です。ただ、当社独自のネーミングで定義したかったので、“ひねらんかい”と同じニュアンスで商人という言葉を使っています。
また、商人とサラリーマンの一番の違いは、給与を払う側なのか、もらう側なのかという立場の違いです。当たり前に聞こえるかもしれませんが、ここが重要なポイントです。この立場の違いが、日々の思考の違いになり、それが習慣の違いになり、価値観の違いにまでなります。
給与を払う側に立てば、言い訳は許されなくなる。全ての責任を負うことになります。つまり、他責にすることができなくなる。この緊張感はサラリーマンとは比べものにならないと思います。
※累損:累積損失のこと。ここでは次月度に繰り越した損失額の累計を指す。
プロフィール
- お名前七村 守
- お名前(ふりがな)ななむら まもる
- 出身大阪府
- 身長172cm
- 体重72kg
- 平均起床時間4時 30分
- 趣味ゴルフ
- おススメ本『ビジョナリー・カンパニー2』
- 購読雑誌日経ビジネス、プレジデント、週刊ダイヤモンド
- 家族3人
- 今までに訪れた国10ヵ国
- 座右の銘自分の人生の主人公は自分だ
- 尊敬する人稲盛 和夫
- 好きな食べ物若ごんぼ
- 嫌いな食べ物生もの