― 御社のビル経営改善コンサルティングのサービス内容はどのようなものですか。まずコスト削減の面から手法を教えてください。
取引業者を変更することでコスト削減を実現するコンサルタントは多くいますが、委託先の安易な切り替えはサービスの低下を招く恐れがあります。当社の場合は、基本的には既存の取引先を変えることなく、コスト面だけの見直しを図る点が特長的といえます。
そして当社のコスト見直しの手法には、「ベンチマーク」と「原価推計」の2つがあります。
ベンチマークとは、いわば他との比較です。ビル関連の備品の納品単価には地域ごとの相場があり、当社は過去の実績の中で、ベンチマークとなる価格情報を蓄積しています。その相場単価と比較することで、現在の価格が適正かどうかを判断するわけです。
そして原価推計は、備品などのモノとは違って価格の単純比較が難しい、「サービス」の部分についてコストが適正かどうかを測るノウハウです。市区町村などの自治体が業者に業務委託する際の原価履歴表が開示されており、当社で適正価格の指標としています。
こうした適正価格を管理会社に示しながら、施設保守や工事費用の中身を精査しコストダウンを図るのが当社の手法。単に価格を下げるのではなく、明確な裏付けに基づいて交渉しますから、相手も呑まざるを得ないわけです。
その他にも、借入金利における金融機関への交渉や、火災保険料などの保険料についても個別リスクに見合った保険料として査定し直すなど、コストの見直しを進めていきます。
― 収入アップについてはどのように実現していくのですか。
たとえば賃料のアップについては、テナントに切り出しにくいのが実情でしょう。ですから当社では、賃料アップではなく、そのビルにおける「適正な賃料を査定する」というスタンスで交渉します。
適正賃料の出し方には、「批准賃料」「積算賃料」「継続賃料」の3つの考え方があります。
批准賃料は、近隣の類似ビルを基準にし、立地や環境に応じた係数を乗じて賃料を算出する方法。積算賃料は収益還元の観点で、賃貸人の希望利回りを反映して算定。そして継続賃料は、当初の賃料に同エリアでの相場の上下を反映させて現在の適正価格を算出するものです。
この3つの手法で割り出した価格を適正賃料と位置づけ、それに満たない場合のみ「賃料の改定」をお願いするというスタンスで交渉するわけです。
さらに、効果的なリノベーションによる物件の魅力付けや、不動産に特化したマーケティングノウハウによる様々なリーシングの提案も実施。空室リスクの解消による収入アップの側面も積極的に支援していきます。
― ほかに経営改善のために行うものはありますか。
賃料の未回収問題の解決も重要です。先日も、ある商業ビルで発生していた10年におよぶ約1億円の未回収賃料を回収・解決した例がありました。当社の税理士と弁護士を中心に、過去10年分の帳簿や履歴を入念にチェックし、回収の不可を慎重に判断しながら償却と回収を進めた成果でした。
また、ビルの構造や機能性を見極めながら貸出面積のアップを提案することや、行政による法令整備によって収益メリットを生み出すコンサルティングも積極的に行っていますね。
プロフィール
- お名前井主 晃平
- お名前(ふりがな)いぬし こうへい
- 出身東京都
- 血液型B型
- 趣味アウトドア
- おススメ本『成功はゴミ箱の中に』、R・クロック
- 尊敬する経営者高原豪久氏
- 好きなスポーツ少林寺拳法