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ニッポンの社長 > インタビュー > 世の中に独自の価値を提供する社長 > 一般社団法人国際ライセンスマネージメント機構 代表理事 井上 由美

― それを土台に、人間力育成のためにどんなアプローチで研修を行うのですか。

 研修ではまず、気質学と思考学によって自分へのコミュニケーションを深めていきます。相手とのコミュニケーションに問題がなくなり、いつも自分の得意なパターンでの思考によって物事を捉えることができ、成功のイメージしか沸かなくなるのです。従来の研修では「課題があれば自分を変えなければならない」という自己否定の手法が一般的でしたが、いわば真逆のアプローチをしています。

― 具体的にはどんなステップを踏むのですか。

 「自分を知る」「自分を知って使える」、そして「それを応用する」。大きくこの3つのステップで研修を進めていきます。
 
 まず、気質診断のテストを受けていただき、当機構で独自開発した方法で、徹底的に自分を知ってもらいます。これは自分自身の気質のパワーバランスをパーセンテージで出すことで、より明確に自分を知る事が出来るものです。50問のテストに回答した結果で自己分析します。このテストで約70%の人は気質を判定できます。残り30%の人たちに関してはテストの回答を意図的に変えてしまっている人がほとんどです。そうした場合は、私たちが個々にカウンセリングに入りながら擦り合わせていきます。このようにして、大半の人たちが自らのパワーを知ることができるのです。ここまでが第1ステップ。
 
 見極めた能力を使う第2ステップと、応用する第3ステップでは、講師とペアになったり、あるいはグループを組んだりします。他者と協働して、いろいろな課題を解決していくのです。そのプロセスのなかで自らの強みを理解して使えるようになっていきます

― 研修において効果があった事例を教えてください。

 企業向けの研修では、年商15~16億円が4年間で35~40億円にまで成長した販売・レンタル業の会社様のケースがあります。また、現在も、とあるサービス業の会社様を10年で年商50億円から100億円にするプロジェクトを動かしています。まだ、お手伝いし始めてから数年ですが、進捗としては売上も順調に推移しています。どちらの企業もヒトのチカラで成長していこうという会社です。
 
 2社とも「上層部だけ」「一般社員だけ」など、部分的に受けたのではありません。全社員を対象に、部門別・階層別に研修を実施しました。組織全体で研修を受けたことで効果が出たのです。

― なぜ、短期間で組織がよい方向に変化したのでしょう。

 2つの要因があります。ひとつは組織全体のストレスが減り、社員一人ひとりのプレゼンテーションが豊かになったことです。

 現在、多くの組織がかかえている問題は、社内の人間関係でストレスがたまること。その結果、上司や他部署へのプレゼンテーション能力が低下してしまうことです。自分の考えと相手の思考パターンにズレが生じたときに、人はストレスを感じます。「ズレを少なくしよう」と個々人が我慢をすると、さらにストレスが生じる負の連鎖に入ってしまいます。上司・部下関係なく自分を知り、相手を知り、相手のタイプに適した対応を自然にとることができれば、ストレスが少なくなる。そして、ストレスが解消できれば、社員一人ひとりのプレゼンテーションが豊かになり、自分らしさが出て、組織がうまく回るようになるのです。
 
 もうひとつは個々人のパフォーマンス(成果)の向上です。たとえば、個人の方を例にあげると、それまで全然接客ができなかった人が、研修を受けて、1年でNo.1になった例があります。その人はなかなか成約ができず、クビ寸前の状態でした。ところが8ヵ月コースの研修の最終盤にきて、その月トップの成績をおさめたのです。
 
 それまで複雑に考えすぎて、お客様が求めてもいないことをさんざん提案していて、お客様はまどろっこしく感じていました。研修でもっとシンプルにやることに気づき、接客のポイントがすっと自分の中に入ってきたのです。それで社内表彰を受けるまでに成績をあげることができました。

― 企業だけでなく、専門学校の学生を対象にした研修でも成果があったと聞いています。具体的に教えてください。

 専門学校の1・2年生をメインに、対人関係の改善を図る講義を実施しました。現在、全国で300名を教育しています。
 
 いまの学生たちは、リアルなコミュニケーションを十分にとらないままで卒業してしまいます。しかし、それでは社会に出て、お客様からお金をもらうために仕事をするうえで問題が生じます。でも学生たちは「コミュニケーションがとれずに社会に出ていくことが問題になる」ことすら気づいていないんですね。
 
 そこで、まず「コミュニケーションをしっかりとることが必要だ」ということをわかってもらい、有効なコミュニケーションを学ぶ研修をした結果、欠席がちだった学生の出席率が上がったり、引っ込み思案の学生が自分から率先して発言するようになったり。もちろん、成績が上がる学生も多いですね。このように単なる対人関係の改善ではなく、自分をコントロールできるようになっていったのです。

著名経営者

  • 株式会社IDOM(旧:株式会社ガリバーインターナショナル)

    羽鳥 兼市
  • 株式会社セプテーニ・ホールディングス

    七村 守
  • 伊那食品工業株式会社

    塚越 寛
  • シダックス株式会社

    志太 勤
  • GMOインターネット株式会社

    熊谷 正寿
  • エステー株式会社

    鈴木 喬

プロフィール

  • お名前井上 由美
  • お名前(ふりがな)いのうえ ゆみ